一人暮らしも10年を超えた。
私は、私だけのために、私が好きな食べ物を調理するのが好きだ。
例えばホットケーキ。
ミックスは高いから使わず、ベーキングパウダーをお取り寄せしたり、砂糖をキビ糖にしてみたり、黒みつをこしらえたり、白みつをこしらえたり、自分だけのために買った高級なメイプルシロップで食べる。
見栄えより量、26cmのフライパンにまんべんなく、330gのホットケーキのタネを流し入れて一気に焼く。
例えば、チンジャオロース。
ピーマンが好きだ。
だから、ピーマン4個入り×3袋、肉は98円の少量パック、タケノコは高いから入れない。
そこにはニンニクを入れる。ニンニクが好きだ。
ピーマンとニンニクが、野菜のなかではツートップだ。
ニンニクといえば、ペペロンチーノ。
乳化がどう、とか、塩加減がどう、とかそういうのは置いておいて、乾燥にんにくを一掴み(ひとつまみ、ではない)すりおろしニンニクをカレースプーン山盛り2杯と少し、ベーコンを3切れ、パスタは150g。
鷹の爪はそんなに好きじゃないから、輪切りのものを5粒ほど。
もしも、ラッキーなことに生のニンニクがあったらまるごと一つ使う。臭くたって構わない、どうせコミュ障だから誰とも会わない。
インスタントラーメンはうまかっちゃんが好きで、これにもニンニクを山のように入れる。
調理段階ですでににんにくをカレースプーン山盛り1杯、出来上がったものにまた1杯。
明日が臭くても構わない、どうせ自分が臭いと感じることは無い(周りのみなさんすいません)。
そして、わかめの味噌汁。
わかめの味噌汁は油揚げを入れても好きだ。
豆腐も好きだ。
なめこが入っていてもいい。
でも今日は、下仁田のネギがあるから、これと味噌汁にしよう。
下仁田ネギを味噌汁に使うなんて、なんて贅沢なんだろう。
生若布の塩漬けを頂いたので、ありがたく使う。
切られていないわかめ。
ひとつまみ、と思って取り出そうとすると、後から後から長いわかめに絡まってわかめが「こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!」とやってくる。
結局、長いわかめのかたまりがボウル1杯ほども袋から出てしまった。
少しだけ思案して、これを袋に戻すのは面倒だな、とボウルで塩抜きする。
膨らむわかめ。
あふれるわかめ。
ボウルから「こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!こんにちは!」とやってきて、排水口めがけて「さようなら!さようなら!さようなら!さようなら!さようなら!さようなら!」と海に戻ろうとするのを必死で引き止める。
引き止めたわかめをまな板に乗せて、ザク、ザク、ザクと適当に切っていく。
一口になればいい、と思ったのに、案外切れていなくて長いわかめがいる。
構わない、どうせ咀嚼するんだし。
湯がグラグラ煮立った鍋には、ネギが上へ下へ踊っている。
丁度いい塩梅、ダシも入れた。
ワカメを鍋に入れると、とたんにワカメが膨れだす。
さきほど冷水で塩抜きした時はまだ、そのポテンシャルを秘めていた。
膨れるわかめ。
もう鍋から溢れ出しそう。
ひと煮立ちしたら火をとめて味噌を加える。
これもいただきものの豆味噌があったのでありがたく使う。
みそをスプーンで取って、お玉の中で溶かそうと思うのに、わかめたちが
「これ以上入りません!入りません!入りません!入りません!入りません!入りません!入りません!」
と、汁に到達させてくれない。
凄い。
お玉でわかめをグイグイ押しながら、味噌を溶かす。
味見をするのも一苦労だ。
なにせ、鍋いっぱいあったはずの水分がどこにも無い。
そして、出来上がったものが、こちらになります。
※ どんぶり1杯分のワカメを食べたら多少汁が見えてきました。