映画の感想(邦画) 20160114~
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舟を編む(2013/石井 裕也)
三浦しをんさんの同名小説を映画化。なぜか私は「オダギリジョーが出てる」ってことしか知らなくて見た。話のスジもわからなければ、原作者をなぜか原田マハ(原田宗典の妹)だと勘違いしていた。なぜだ。ゆれる(2006/西川 美和)みたいな雰囲気の映画だと思ったので、この前見たアカルイミライ的なかんじで流し見しようと思ってたのだけど、始まって15分くらいで真剣に見てた。
あらすじは玄武書房で辞書を作り続けている荒木さんが定年になるため、代わりとなる編集者を見つけるところから始まる。営業部でうだつのあがらない馬締(マジメ/松田龍平)は、名前のとおり生真面目だがコミュニケーション能力に難あり。大学院で言語学を学んでいたという馬締を荒木は新しい編集者として辞書編集部に迎え入れる。あまり辞書作りに熱心ではない西岡(オダギリジョー)と、契約社員ながらも12年間辞書作りに携わっている佐々木さん(伊佐山ひろ子)、そして馬締に辞書作りの面白さや言葉集めの楽しさ、大変さを教える松本先生(加藤剛)に影響され馬締は見出し語24万字という途方も無い大型辞典「大海渡(だいとかい)」の編纂に携わっていく…。
見終わったあと「舟を編む」ってそういう意味か~と思ったり、オダジョの調子の良さとか松田龍平の演技とかに凄く引きこまれた。あんまりキレイな毛並みじゃない猫(トラサン)が出てくるんだけど、猫可愛かった。馬締が住んでる草雲荘の建物の古びた感じも、下町っぽくて、隙間風凄そうだけど住みたい。
2016年の邦画初め(アニメ以外)にはとてもいい映画を選んだなぁ、と思いました。
好き度:★★★★
効能:見終わってジーンとするというか、心に風が吹き込むような気持ちになるというか。悪人が出てこない映画っていいね。
ストロボ・エッジ(2015/廣木隆一)
咲坂伊緒原作の同名少女漫画を映画化。
私は常々、この胸キュン系少女漫画の映画化っていうのが苦手で嫌いで文句をたらたらつけながら見るクセがあるのですが、またも見てしまいました。
本当は好きなんじゃないか。
あらすじは、主人公の木下さん(主役)が蓮くんというイケメンに片思いしてたんだけど、蓮くんには彼女がいて、告白したあと友達でいてくれと木下さんが頼むと、駅のホームでそんなことをしたもんだから学校中がその話を知ってて…ついでに主人公は安藤くんっていうチャラいメンズと大樹くんっていう蓮くんの彼女の弟から告白されてて天性のモテ属性を持ってる、もうなんだろ、選び放題やんか!みたいなそんな話です。
…。
だいたい、アオハライドと同じ感じ!(身も蓋もないな…)
映画の感想(邦画) ~20160111 - 百三十五年丸ノ内線
好き度:★
効能:もう私はこういう系統の映画は見ないほうがいい…。
キッチン(1989/森田 芳光)
吉本ばなな原作の同名小説を映画化。始まった瞬間から「あ、バブル」って感じ。身分不相応なかんじのする凄いマンション(芸能人くらいしか住まないんじゃ…)とか、浮世離れしたオリーブ少女とか、たくさん出てくる。
うん、嫌いじゃないです。むしろ好き。私が憧れてる東京の生活ってこういうバブルっぽいものなんだなぁと再認識しました。
物語は両親のいない主人公・桜井みかげ(オリーブ少女、今で言う森ガール?)が同居していた祖母を亡くし、家を引っ越さなければならないとき、祖母と仲良くしていた若い男性・雄一から部屋が決まるまで家においでよ、と言われるところから始まる。雄一が紹介する「母、絵理子」は男手一つで雄一を育てるために女性として生きる決心をした元・男性。
みかげは雄一と絵理子と交流を深めていくが…っていう話。
ひと目見て「あ、これはメゾン・ド・ヒミコの元になった映画なのかもしれないなぁ」と思いました。母と子の交流の物語であり、雄一とみかげの恋人未満の物語でもあり、みかげの成長する物語でもあり、絵理子の子離れの話でもあるような気がする。
ふわっと終わるから、ものすごく集中して見る映画ではないと思うけど、出てくるものが古いけど新しく感じる妙な気分になる。約30年前の映画だもんねぇ。
物語の冒頭に雄一がみかげの元を尋ねて「おなかすいてない?僕は死ぬほど腹ペコなんだ。ごはんを一緒に食べてくれない?」っていうセリフがあるのだけど、それがとても良かった。言葉尻が全部綺麗で、私にとっては本当の昔の映画(白黒時代のね)よりも一応この年代に生まれてたという意味でリアリティがあって、美しい世界がとても気に入りました。
好き度:★★★★
暗殺教室(2015/羽住英一郎)
同名漫画の映画化。漫画はちょっとだけ読んだことあるけど、黄色い月を破壊した職種持ちのタコみたいな異星人が、なぜか椚ヶ丘中学校の先生になって生徒に暗殺と普通の勉強を教えるっていう話。
殺せんせーの声、二宮和也だったんだね…。見終わったあと「えー!?」ってなった。だってずっと三ツ矢雄二だと思ってたんだもん。
あれってどこまでCGなんだろう?風に揺られてる殺せんせーのケープ(?)とか凄く自然だった。本当に殺せんせーがそこにいるみたいに見えたよ。
あと高嶋政伸久しぶりに見たけど、こんなイカれポンチな人だったっけ?HOTELの「姐さん…」とかってナレーションしてるイメージしかなかったから「ひいいい高嶋政伸めっちゃ怖いぃいぃ!」ってなったよ。
あと菅田将暉くんは可愛いね。ああいう弟が欲しいよ。
監督の名前調べようと思ってwiki見たら「殺せんせーの過去の姿の死神役」とか書いてあって、またwikiに壮大なネタバレを食らったよね。
好き度:★★★★
福福荘の福ちゃん(2014/藤田 容介)
森三中の大島美幸さんがなぜか男性役(ちんこでっかい)に挑んだ映画。
正直、期待はしてなかったけど思った以上に飛んでるストーリーで凄く笑った。
荒川良々も出てるんだけど、大島さんが坊主頭にしてるから、まるで兄弟のように見える。大人計画の平岩紙さんも出てた。
話は最初関係ない2エピソード(主人公・福ちゃんのほうと、カメラマン見習いの千穂のほう)が進んでいくのだけど、「なるほどそういうことねー!」って繋がるところが個人的にはとても気持ちよかった。あと馬鹿馬鹿しくて面白かった。声出して笑ったもの。
雰囲気的にはサッパリした釣りバカ日誌…?
途中に出てくる喫茶店のママが怪しすぎて良かった。プリンも美味しそうだった。大島さんが走ってるシーンがあるんだけど、微妙に乳が揺れてたのが「おおう…」ってなる。難点はそのくらい。
好き度:★★★
桜、ふたたびの加奈子(2013/栗村 実)
交通事故で入学式の日に急逝してしまった加奈子が生まれ変わる話。広末涼子の演技がスゴイ。グッときた。
子供を亡くした広末涼子が妙なこと(加奈子はここにいる)というのを夫・稲垣吾郎が「何いってんだこいつ」みたいな目で見てるのがめっちゃ切ない。
違うの!意訳しすぎただけで、いい映画だったから!
ジャンル的にはなにになるんだろう?ホラーかな…霊的な何かも出てくるからホラーかも…。
わりと泣ける。
あとBGMがいちいち怖い。誰かな、と思ったら佐村河内守ッて書いてあったから「新垣さんかー!」って思ってめっちゃ納得した(事実確認中らしいのでゴーストライターかどうかは不明)。坂本龍一っぽい怖さがあったよ。
好き度:★★
リトル・フォレスト 夏/秋 冬/春(2014-2015 森淳一)
同名漫画の映画化、らしいです。原作知らなかった。
公開された順番は春/秋→冬/春なんだけど、先に冬/春を見てしまいました。
どうしてこういうことをするかな、私は。
話は東北の小森という集落にすむ自給自足に近い生活を送っているいち子の日常と、今は行方不明の母との思い出話。
綺麗な風景、ものすごい事件があるわけではないゆるゆる進む話、出てくるごはんやおやつの、豪華ではないけれど素朴で確実に美味しいたべもの、生き物を殺して食べる意味(屠殺シーンとか解体シーンがある)、料理にかけた一手間でほんの少し美味しさが変わる意味などなど。
両方見ても4時間弱。このゆるゆるな感じ、嫌いじゃないです、むしろ好き。
かもめ食堂とかアカルイミライとかそういう映画に近い雰囲気かなぁ。
画面がちょっとオシャレ。20年位前の音楽系雑誌とかサブカル系雑誌っぽい感じがする。田舎の話のはずなんだけどなぜか都会的。橋本愛がかわいいからかもね。でもこれ見て田舎暮らしに憧れて自給自足はじめようって人には全力で「やめとけ!」って止めると思う。
エンディングテーマは一瞬CHARAかと思ったんだけど、FLOWER FLOWERだった。YUIのグループなんだね。歌い方こんなんだったっけ?
好き度:★★★★★
STAND BY MEドラえもん(2014/八木竜一、山崎貴)
ご存知ドラえもんの劇場版作品。ドラえもん映画初の3Dアニメーションということで、CGのヌルリンっとした映像です。
私はなぜかドラえもんがあんまり好きじゃないので(道具をうまく組み合わせて使わないところとか、それは前の道具で何とかできる事案、とか、SF作品的に辻褄が合ってないところばっかり目が行く)今の今まで見たことがなかったのですが、様々な縁があり見た次第。
映像は綺麗でした。背景にトヨタとかグリコとかスポンサーの名前が入ってたり、korosukeとか星野スミレ、とか藤子作品の要素を入れてあったり楽しめると思います。多分。でもドラえもんっていう情報ナシにこの一作だけ色々なところで見たら「?」ってなると思うんだよね。雪山で遭難したシズカちゃんを助けに来る大人のび太と子供のび太のこととか、色々と気になってしまった。ううーん。
好き度:0(ドラの声優の声がもともと好きじゃなくて…見るのが苦痛でしたスイマセン…)
蜩ノ記(2014/小泉 堯史)
葉室麟の同名小説を映画化したもの。主演は役所広司とひらパー兄さん岡田准一。
羽根(うね)藩というところの戸田 秋谷(とだ しゅうこく/役所広司)がその昔、藩主の側室と不義密通の罪に問われたが、頭が良かったため切腹のところを「とりま、家譜(家系図のもっと詳しいやつ)書いてから切腹ってことで!」と言われた。全く別のところでひらパー兄さんが場内喧嘩沙汰で切腹のところ、喧嘩相手が藩主の身内で「喧嘩両成敗だとふたりとも死んじゃう!」ってことで秋谷の監視をすることに。
役所広司の監視をするひらパー兄さんだったが、誠実な人柄に「不義密通なんて本当にするんやろか?」と疑問を持ち始め…
という話。
じんわりといい話だったよ。画面も綺麗だったし。気を許すと「ひらパー兄さん」「むしろ超ひらパー兄さん」「ひらパー兄さんは脱いだら凄い」とか思ってしまったので気を抜かないで見ました。
好き度:★★★
就職戦線異状なし(1991/金子修介)
バブル末期の映画。
早稲田大学社会学部4年生の大原(織田裕二)が、的場浩司に影響されてマスコミへの就職を目指すがなかなか内定が取れなくて、そんななかFテレビだけ順調に面接を突破していくが人事担当者は織田裕二に酔っ払って殴られた因縁のある相手で~…
っていう話。
ホイチョイ・プロダクションズの映画(私をスキーに連れてって、彼女が水着に着替えたら…等)に比べたらとても見やすかった。まだこの頃ってフジテレビの勢いがあって面白かったんだろうね。眉毛がごん太、とか肩パッドもりもり、っていうのも無くて、マリコ(織田裕二に片思いをしている大学生の同級生)の服装もボーダーのボートネックにくるぶし丈のパンツ+ぺったんこ靴とかで00年代の流行っぽかった。唯一、和久井映見(エフテレビ人事部・葉子役)のスーツが肩パッドが入ってて時代を感じたところかな。
あといちばん大きいのは言葉にヘンな流行語を入れてないところかなぁと思った。バブル期の映画ってあんまり得意ではないのだけれど、この映画はキッチンと同じく好きな部類です。
好き度:★★